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雪菜さんの詩

時枷・2    ..雪菜 ゆきな
2003/02/23(日) 21:49  No.78

ビルとビルの間 細い隙間 陰に潜む腐敗したカタマリは この身体にくっつき離れない 必死になって両腕に力を入れるけれどビクともしない もうこうして何時間過ぎただろう 目をやると錆びた時計はさっきと何一つ変わらないでそこにある ピクリとも動かない こうやっていて時間が一気に過ぎればよかったのに もう今にも爆発しそうで思いっきり壁にあたった 中途半端に砕けた足でやっと立ち上がって空を見上げる ほんの少し見えた空は色がなくて急に怖くなった ずれていた世界がまた少しずれていく 『ボクは此処にいるんだ』何度も言い聞かせるけど カタマリは勝手にビルの屋上へと上っていく そこからの景色を見て思った 『この世の終わり』 それは自分の望みであって決してそのようなことはない 『ならば自分が終わればいいではないか』 カタマリは笑うとこの身体を食い始めた 『はやく、はやく』 すべて食われる前にここから飛び降りよう そうすれば楽になる でもいざとなると足がすくむ 勇気がない ひとつ思う 勇気があったら今、こうして世界の真実を知ることはなかった 知らなければよかったんだ     ひとつ笑みがこぼれる     忘れよう何もかもひとつ深呼吸するとそこはいつもの歩道橋の上だった そしてカタマリは誰にも気づかれずいつもの通り歩き出した むき出しになったそれを恥じることなく
      
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